苫小牧商工会議所商業部会(吉本光国部会長)は9日、白老町の大町商店街などを視察した。同部会メンバー9人が参加し、白老商業振興会(村上英明理事長)や個店による商店街振興、地域活性化の取り組みについて学んだ。
視察は、本格的な人口減少時代を踏まえ、持続可能な商業の在り方や振興策を探るために企画。昨年7月に開業した民族共生象徴空間(ウポポイ)を生かした観光・商業振興を目指している白老町の事例を参考にするため訪れた。
一行はウポポイを見学した後、白老商業振興会の村上理事長の案内でJR白老駅前の大町商店街を視察。カフェや雑貨店、宿泊施設、スイーツ店、家具店などが立ち並ぶ通りの様子を見て回り、白老に移住した若手らが商店街で起業する動きが続いていることに関心を寄せた。
その後、大町商店街通りで営む地域食堂グランマで、白老商業振興会の取り組みについて村上理事長から詳しく説明を受けた。村上理事長は、同振興会が今年春に作った観光マップ「白老散策」を紹介。飲食店や観光スポットの位置を地図で示し、ハイセンスな雰囲気に仕上げたポケットサイズのマップについて「1000部作成し、駅北観光インフォメーションセンターなどに配備したが、すぐに無くなるほど好評だった」などと話した。同振興会が大町商店街のにぎわい創出に向け、加盟店で使える500円商品券「ウェルカムチケット」を観光客に配布する事業も取り上げ、「町の補助を受けて昨年度に実施した事業だが、チケットの利用率は高く、商店街に一定の経済効果をもたらすことができた」と説明。今後の課題としては「ウポポイ見学者をどう大町商店街へ誘導するかだ」と述べた。
また、白老町の元地域おこし協力隊員で、グランマを営む林啓介さん(39)が高齢者スタッフの力を生かした店の運営や、地域食材などを活用した商品開発、民泊、シェアオフィス運営といったビジネス展開について説明。苫小牧市で小売店経営など商業に携わる商業部会メンバーは、事業を通じたまちおこし、地域活性化に挑む林さんの取り組みに興味を示した。
さらに白老町で展開された文化芸術事業「白老文化芸術共創」の実行委員会メンバーが、プロジェクトの内容を説明。さまざまなアーティストによる文化芸術活動を商業・観光振興に生かす事業の意義を話した。
視察に当たった商業部会の吉本部会長は「人口減少が進む中、他地域の人が特定のまちに継続的に関わる関係人口づくりなど、われわれもさまざまな地域振興策に取り組まなければいけない。白老の事例を参考にするほか、各地の視察を続けたい」と話した。