第60回記念春季北海道高校野球大会は5月24~31日、札幌円山球場で道内10支部の代表16校によるトーナメント戦が行われた。新型コロナウイルスの影響で2年ぶり開催となった全道舞台で札幌日大(札幌支部)が初優勝。北海道栄(室蘭支部)が5年ぶりの決勝に進み準優勝と健闘した他、前回第58回大会覇者の駒大苫小牧(同)は1回戦で敗れる結果となった。
昨年秋の全道大会初戦で完封負けを喫していた道栄が、見違えるほどの快進撃を見せた。遠軽(北見支部)との1回戦こそ接戦になったが、延長十回にサヨナラのスクイズを決めるなど3安打4打点だった捕手奥山陸也(3年)の活躍もあり6―5で勝利。続く北照(小樽支部)との2回戦では、1点リードの二回にバスターで4連打するなど打者一巡の猛攻で6点を奪い、8―1の七回コールド勝ちにつなげた。
切れ目のない打線は札幌静修(札幌支部)との準決勝でも猛威を振るった。初回から先発常谷拓輝(3年)を攻め立て、10―0の六回コールド勝ち。思い切りのいい走塁に単打中心のつなぐバッティング、ボール球を冷静に見極め四球で出塁する判断能力の高さも大量点を後押しした。
投手は2年生エース濱中拓、主将の小沼快登(3年)が各戦で好投。3戦連続で後攻となり、「守備から流れをつくって攻撃につなげられているのが大きい」と糸瀬直輝監督も納得の試合運びができていた。
1991年の第30回大会以来30年ぶりの春頂点を狙った札幌日大との決勝も後攻を取った。一回2死から敵失と四球で一、二塁とし佐々木佑馬(3年)が先制打を放つなど、道栄ペースで進むかに見えたが「チャンスでもう1本が出なかった」(小沼主将)と計10残塁。登板した相手投手2人を崩し切れず2―3で惜敗した。
駒大苫小牧は初戦の東海大札幌に1―2で競り負けて姿を消した。打線は散発6安打に終わり、つなぐ打線の強化は課題として夏に持ち越した。
失点は先発の林勝宏(3年)が初回に東海大札幌の4番唐川侑大に打たれた2ラン本塁打による2失点のみ。二回以降はスライダーを武器に安定した投球を披露した。「五回からは決め球のスライダーのきれが良かった」と林は手応えを語った。
「練習とは懸け離れていて弱さを感じる」と佐々木孝介監督は手厳しく評した。六回こそ複数安打で1点を挙げたが、七回は得点圏に走者を進めながらもう一押しが出ず、同点の好機を逃した。夏に向けて佐々木監督は「仲間を信じてつなぐ打撃を」と奮起を促した。