3月31日に札幌ドームで行われた対埼玉西武ライオンズ戦で、プロ初先発を果たした北海道日本ハムの苫小牧駒大(現北洋大)出身、ドラフト1位右腕伊藤大海が、期待にたがわぬ堂々としたマウンドさばきを披露した。6回を投げ4安打1失点。前日の30日に15安打11得点と大暴れした西武打線から、毎回の8三振を奪ってもみせた。
一、二回こそ2死から走者をため「序盤に流れをつくれなかった」と言うが、動じずに無失点で切り抜けるところはさすがの一言。失点は五回の先頭打者だった台湾人内野手、呉の本塁打のみ。アウトコース要求の直球が内側に入り「1球の怖さを知った」と振り返った。
今年2月の春季キャンプから1軍入りし、3月14日の広島とのオープン戦で7回4安打無失点と結果を出し先発の座を射止めた。渡島管内鹿部町出身で駒大苫小牧高―苫駒大と苫小牧の地で腕を磨き、春の選抜甲子園出場や2年連続で学生日本代表にも名を連ねた大器。次回は味方打線の援護も受けながら、念願の公式戦初勝利をかなえたい。「次につながるところも多かった。勝ちにこだわりたい」と頼もしく語った。
― 苫小牧の野球関係者、伊藤の好投に酔いしれる
高校、大学時代を苫小牧で過ごし日ハムドラフト1位でプロ野球界に飛び込んだ伊藤が、初の公式戦で好投した。戦況を見守った恩師やかつてのチームメート、市内で野球を志す選手たちからは興奮の声が多く上がった。
「緊迫した中でナイスピッチングを披露してくれた。満点に近い」と喜ぶのは北洋大の大滝敏之監督。新人らしからぬ冷静なマウンドさばきに目を見張りながら、「これからはたくさん研究されると思う。もう一段レベルアップしてほしい」とエールを送った。
高校、大学時代に伊藤とチームメートで1学年下に当たる土井凜太郎さん(22)は札幌ドームに足を運び、勇姿を目に焼き付けた。「プロの舞台でも気持ちの強さは変わっていなかった」と語った。
高校時代の恩師で駒大苫小牧高野球部の佐々木孝介監督(34)は自宅でテレビ観戦した。埼玉西武にドラフト4位入団した外野手若林楽人=駒大苫高―駒大=と共に、教え子として初めてプロ選手となった伊藤。「どきどきしたが素晴らしいボールを投げていた。次が楽しみ」と期待した。
次代を担う市内の野球選手たちも、伊藤のピッチングを食い入るように見詰めた。昨年秋の道学童軟式野球都市対抗戦で連覇した苫小牧選抜のエース投手だった石川瑛二朗(ウトナイ中1年)は「ホームランを打たれても動じない強気な投球がすごかった。自分もそんな投手になりたい」と目を輝かせる。
中学硬式の苫小牧リトルシニア(浜谷千春監督)で三塁手や投手を務める佐藤翔太副主将(啓明3年)は「ストライク先行でいいリズムをつくっていたと思う。今度は無失点で勝利する姿が見たい」と話した。
―西武ライオンズ 白老町出身・若林、1軍定着へ奮闘中
白老町出身で西武にドラフト4位入団した外野手の若林が、開幕1軍入りを果たし奮闘中だ。3月31日こそ出場機会がなく、高校時代に1学年上の先輩だった日ハム投手の伊藤との対決はならなかったが「徐々にプロ慣れしてきた」と自信をのぞかせる。
フル出場したのは3月27日、本拠地メットライフドーム=埼玉県=で行われた今季開幕2戦目の対オリックス戦。9番左翼手で先発出場すると、七回2死満塁で死球の押し出しにより初打点を挙げた。
30日に札幌ドームで行われた日ハムとのアウェー戦でも再び9番左翼手でスターティングメンバーに名を連ねると、5点リードの八回1死三塁で犠飛を放った。「とにかく走者をかえすことだけを意識した」と振り返る。
ドラフト6位入団のブランドン=東農大道オホーツク出身=と共に、主力にけがが多発しているチームを支える期待の若獅子。「まずは守備をしっかりこなして、1軍定着を目指したい」と語った。