むかわ町文化協会(越前一会長)が発行する文芸誌「文芸むかわ」の第44号(A5判、134ページ)が完成した。2018年9月の胆振東部地震の体験談や震災をテーマにした短歌を掲載したほか、俳句やエッセー、活動記録などをまとめた。被災した当事者らの記憶を後世に伝える記録としても貴重な一冊に仕上がっている。
同協会内に組織された編集委員会のメンバーが中心となり、昭和40年代から制作している文芸誌。ここ数年は隔年発行になっている。
第44号は、胆振東部地震で震度6を観測した同町で被災した当時の様子や避難所での出来事、仮設住宅での暮らしなど、執筆者がそれぞれ思いを振り返るドキュメント、短歌を掲載した。全国同人雑誌最優秀賞「まほろば賞」に選ばれた中井弘さんが書いた小説「キリギリス」も盛り込まれていて、読み応えのある内容となった。併せて昨年開催された総合文化祭の様子も写真で紹介している。
今号は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、会員が集まって会議ができなかったため、校正作業は持ち回りで行うなど時間を費やした。編集委員長を務めた梅津譲一さん(79)は「できるかどうか心配だったが、皆さんが一生懸命やってくれたおかげで大幅に遅れることなく出すことができた。ページ数だけではなく、内容も創造力豊かなものが多く、充実した作品になった」と話している。
文芸誌は町役場や学校、公共施設、店舗などに寄贈された。道の駅四季の館内のまなびランド図書室、穂別図書館で閲覧できる。