白老町で開業予定のアイヌ文化復興拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)について、国土交通省は2日、地元白老町民を対象にした内覧会を9日から実施すると発表した。初日の9日は町長や町議会議員など関係者向け、11日から14日にかけては一般町民向けに行う。内覧会は町主催の形を取り、新型コロナウイルスの影響で延期されているウポポイの本格開業へ向けた地元の機運を高める。
町は、開業を前にした町民向け内覧会の実施について、ウポポイを管理運営するアイヌ民族文化財団や国と調整を続けてきた。新型コロナの緊急事態宣言が解除されたことなどを踏まえ、今月実施する方針を決めた。
同財団や町などによると、一般町民向けの内覧会は11日から14日にかけて連続して実施。11、12日は各日300人程度、13、14日は各日900人程度を受け入れ、グループに分けてスタッフの案内の下、1グループ3時間程度、施設を見学してもらう。施設では屋外でアイヌ民族の伝統舞踊や楽器演奏を披露するほか、伝統工芸品の制作実演や国立アイヌ民族博物館の見学、アイヌ民族の物語を紹介する短編映像上演、アイヌ料理の試食体験(人数限定あり)などを検討している。
内覧会に当たっては、入場時にサーモグラフィーによる体温チェックや施設内消毒、入場者のマスク着用、人と人の間隔を空けて見学してもらうなど、新型コロナ感染防止策を徹底する。
町は実施を前に、白老コミセンを会場に8日と9日に町民から見学希望日を受け付け、ウポポイ入場料については町が負担する形を取る考えだ。内覧会は14日以降も断続的に行うことも検討し、その後の政府主催の開園記念式典や本格開業へつなげる。
赤羽一嘉国土交通相は2日の記者会見で町民向け内覧会の実施について触れ、「開業した暁には、地元白老町の皆さまに気持ちよくホストとして多くのお客さまを迎えていただきたい」と述べた。
内覧会の実施に関して地元白老町の戸田安彦町長は「私を含め多くの町民が内覧会に参加し、ウポポイPRのアンバサダーになった気持ちで来町者のおもてなしができれば」とし、「ウポポイがしっかりと感染予防体制を備え、適切な時期に開業を迎えた際には、多くの方に白老へ訪れてくれることを期待したい」とのコメントを出した。
ウポポイの開業日について国は、新型コロナの感染状況などを見ながら改めて検討することにしている。