厚真町内でグループホームえがおの家を運営しているNPO法人「ゆうあいネットあつま」が来年春、町内京町にサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を開設する。同法人では胆振東部地震で応急仮設住宅に入居している高齢者を優先的に受け入れる考え。町による建設費の助成や母子就労住宅の設置など全国的にも珍しい試みを導入する
町によると、4月末時点で応急仮設住宅に入居している203人中96人が65歳以上で、退去後に自宅で住み続けることが困難な状況。このうち16人が一人暮らしで生活支援相談員などの見守りが必要な状況にあるという。実際に要介護認定を受ける住民もおり、見守りや介護が受けられる住まいへの入居希望者は増加傾向にある。
しかし、町内ではグループホームが満室で、震災で自宅が損壊した被災者も受け入れられず、待機者が出ている状況。中には近隣自治体のサ高住に移った人もいるという。
同法人で建設を予定しているサ高住は木造2階建てで、単身者向けに20室(一部夫婦での入居も可能)を用意。就労住宅も2世帯併設し、介護専門の職員が夜間などの緊急時にも対応できるようにするという。建設費を含む総事業費は2億1500万円。このうち建設費の3分の2に当たる1億3000万円を町が補助する方向で調整し、来週開会の町議会定例会に提出する補正予算案に盛り込む。補助に伴い同法人では食事代やサービス料金を除く家賃を通常の半分以下となる2万3000円に設定し、入居しやすい体制を整える。
新たなサ高住は、来年1月下旬に入居者の募集を開始する。2月下旬までに工事を終え、3月中旬の入居開始を予定している。同法人の清水俊宣理事長は「仮設住宅で暮らす住宅再建の難しい人やPTSD(心的外傷後ストレス障害)の被災者の受け皿になれば。団塊の世代が高齢を迎え、その基盤整備にもなれば」と話している。