新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、4月20日から臨時休館していた浦河町大通の映画館「大黒座」が、「映画の日」の6月1日から約40日ぶりに上映を再開する。三上雅弘館主は「休館中にたくさんの人から支援や励ましがあり、とても感謝している」と話している。
再開を前に、ロビーにはアルコール消毒液を置き、館内の「3密」を避けるための感染予防要望チラシも用意した。3密予防策や来館者へのお願いとして(1)座席(48席)は2メートルを目安に距離を取り、退場時も前後で離れる(2)鑑賞時にはマスクを着用し、発声厳禁(3)館内の換気量アップのため、若干騒音が発生する場合がある―としている。
大黒座は、臨時休館した4月20日以前から新型コロナの影響で来館者はかなり減っていて、学校休校とも重なり、子ども向け上映でゼロの日もあった。「映画を見る人が元のように戻るのか、ちょっと心配」と言う。
一方、うれしいこともあった。今回の休館に対し、町内外の有志でつくる「大黒座サポーターズクラブ」(新保雄司会長)が今月、緊急の応援として20万円を大黒座に贈った。会員から「今月は見る機会がないのでその分を」「少しでも役立てて」とクラブにたくさん寄付があったという。
さらに「コロナ禍」で多くが閉館の危機にあった大黒座を含む全国のミニシアター(小規模映画館)に対し、「映画の灯を消すな」と多くの映画監督らが立ち上がった。5月中旬まで1カ月間、全国の映画ファンや企業から支援を募るクラウドファンディングによる「ミニシアター・エイド基金」のプロジェクトを展開。クラウドファンディングの支援者には、全国ミニシアターでの無料鑑賞券やフリーパス(期間限定)などの特典がある。
この結果、5月中旬の締め切りまでに3億3000万円が集まり、大黒座を含め基金に参加した全国118劇場(102運営団体)に、諸経費を差し引いた基金が寄付として配られる。三上さんは「皆さんの映画に対する思いが伝わった」と感激の思いだ。