アポイ岳ファンクラブ 花図鑑を発行 様似 観音山散策のお供にいかが

  • ニュース, 白老・胆振東部・日高
  • 2020年5月18日

 アポイ岳や様似町の自然、動植物を愛する有志によるボランティア団体「アポイ岳ファンクラブ」(田中正人会長)は、多種多様な動植物が息づく町内の観音山に自生する花々を紹介した「さまに観音山・花ひより『季節を彩る168種の花図鑑』」(84ページ、A5判)を発行した。花のほかに野鳥や観音山の歴史・伝説に由来するコラムも掲載している。

 ファンクラブは、アポイ岳だけに生息する固有のヒダカソウなど希少な高山植物の盗掘が相次いだことを機に、1997年に地元有志が「自分たちの手でアポイ岳を守ろう」と創設した。クラブの活動に賛同する会員や支援者が道内外に150人ほどおり、環境整備やシンポジウム、絶滅の危機にある希少な高山植物の再生などに向け、研究者らの再生調査・研究の協力など活動の幅を広げている。

 植物図鑑は2008年に発行した「アポイ岳の高山植物と山草」以来。観音山は標高100メートル、周囲2キロのこぢんまりとした山ながら動植物の宝庫で、「かなり前から観音山の花の図鑑を作りたいという構想はあった」(田中会長)と言う。昨年春、図鑑の製作に着手した。

 著者はクラブ幹部の5人。田中会長が植物写真などを担当。小林弥生副会長が歴史やコラム、理事の武内秀仁さんが鳥類など、事務局長の田村裕之さんが歴史やコラムと編集、事務局次長の水永優紀さんが植物やイラストを担当した。田中さんと小林さん、水永さんは学芸員資格を持つ。

 日高地方や様似の植物に詳しい日高町の高橋誼(よしみ)さんの調査報告書(2017年)によると、観音山の植物は種子植物とシダ類の高等植物だけで377種。図鑑にはシラネアオイなど珍しい植物もあるが、「多くは普通に見られる花々で、観音山を散策しながら図鑑を手に楽しんでほしい」(田中会長)と話す。

 見開きで6種類ずつの花を紹介。花の咲く順番に写真を大きめに載せ、草花の特徴や生育エリアも示していて、お目当ての花を探しやすいよう工夫している。

 観音山の頂は比較的平らで全体が公園になっており、車の駐車も可能。花々が踏み荒らされないよう、散策路沿いにロープを張る作業を町と共同で実施している。

 図鑑はアポイ岳ファンクラブが製作経費を全額負担し、1000部発行した。1冊1300円(税込み)。

 問い合わせは小林副会長の小林新聞店 電話0146(36)2002、笹島時計店 電話0146(36)2148。

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