白老 hakuホステル2年目に挑む 菊地さん「観光振興に一役を」

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  • 2020年5月7日

 白老町大町の旧旅館施設を再生した宿泊施設「haku(ハク)ホステル+カフェバー」がオープンから1年たった。歴史ある建物をハイセンスな雰囲気に改修し、相部屋で安価に泊まれるドミトリーも備えた施設は国内のみならず、外国人観光客にも人気を呼び、これまでに30カ国から宿泊者を迎えた。経営者の菊地辰徳さん(43)は「白老の観光振興に一役買えるよう運営に励みたい」と意気込んでいる。

 千葉県船橋市出身の菊地さんは2017年6月、家族と共に白老へ移住し、町の地域おこし協力隊員に就任した。担当する観光振興の方策を模索していた中、民族共生象徴空間(ウポポイ)開業を控えた白老に観光客用の宿泊施設が足りない状況に着目。大町商店街で長く空き施設となっていた旧柏村旅館を再生し、白老には無かったホステルという新しいタイプの宿泊施設を開業するプロジェクトを計画した。

 プロジェクトは大町商店街の店舗でつくる白老商業振興会(久保田修一理事長)と共に進め、商店街活性化の国の補助金を活用して旧旅館を改修。菊地さんは施設運営の株式会社hakuを立ち上げ、旧旅館の敷地も取得するなどして開業準備に取り組み、昨年4月21日にオープンにこぎ着けた。

 施設は和洋の個室5部屋と、2段ベッドを持つ相部屋のドミトリー2部屋を用意。宿泊定員は35人で、ドミトリーは1人1泊3600円から、個室は6150円からと安価な料金設定にした。地域経済振興を狙い、食事は町内の飲食店を利用してもらう「泊食分離」のスタイルとし、見知らぬ宿泊者同士が交流できるリビングやキッチン、カフェバーも備えた。

 現代風の空間に生まれ変わった施設は、たちまち若者を中心とした観光客の注目を集めた。大型連休や夏の観光シーズンには予約が続々と入り、これまでに3000泊以上の利用を数えた。訪日外国人にも人気を呼び、ヨーロッパや北米、アジアなど30カ国の観光客を受け入れるなど、人口1万6000人余りの小さなまちの宿泊業界に新風を送り込んだ。

 ドリンク類やサケ、たらこなど白老の地元食材メニューを提供するカフェバーは地域住民にも利用され、豊富に取りそろえたクラフトビールを目当てに遠方から訪れる客もいるという。

 今春で地域おこし協力隊員の任期を終えた菊地さんは、現在新型コロナウイルスの影響で厳しい経営環境にさらされながらも「hakuがあるから白老に行ってみたい、そんなホステルを目指して2年目に挑みたい」と意気込む。オリジナルの菓子の土産品開発やオープン1周年記念クラフトビールの提供、カフェバーのスペースを使ったアーティストの作品展示など、ホステルの魅力をさらに深めていく考えだ。

 岩手県遠野市で馬を活用した地域づくりに取り組んだ経験を白老町で生かそうと、18年秋に社台の土地約10ヘクタールを借りて馬の牧場も開設した。ホーストレッキングなど馬と人が触れ合える場の創造を目指しており、「ホステルと連動した牧場運営も考えていきたい」と言う。

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