白老町のしらおいイオル事務所チキサニで11、12両日、アイヌ民族の伝統技法による木彫り体験行事が開かれた。町民10人が参加し、「チシポ」と呼ばれる針入れ道具を作った。
一般社団法人白老モシリのイオル(伝統的生活空間)体験交流事業として企画。同町高砂町の彫刻家吉田信男さん(72)が講師を務めた。
チシポは、彫刻を施した木製の筒に布ひもを通し、そのひもに針を刺しておく道具。昔のアイヌ民族にとって、裁縫やアイヌ文様刺しゅうで使う針は貴重品で、紛失しないようチシポを利用した。
参加者は、長さ約10センチの筒状のノリウツギにサケやうろこ模様をのみで丁寧に彫刻し、筒にひもを通して作品を仕上げた。受講した同町萩野の吉国寿郎さん(69)は「木彫りの難しさを実感しましたが、作業を通じアイヌ文化への理解が深まった思いです」と話していた。
チキサニでは、白老アイヌ協会が昨年10月から今年1月にかけて川沿生活館で開いたアイヌ刺しゅう講座の作品展示会を開催中。受講者14人が文様を刺しゅうし制作した布のコースターやランチョンマットの計48点を紹介している。5月8日まで。