講演する狩野さん パラリンピックに5大会連続出場したアルペンスキー金メダリスト、狩野亮さん(38)=マルハン、札幌市在住=の講演会が6日、安平町の早来学園で開かれた。同学園PTAが主催し、保護者や町民など54人が来場した。狩野さんはパラリンピックに出場した経緯や行動する大切さを伝えた。
狩野さんは網走市出身で、小学校3年生の時に交通事故に遭い、脊髄損傷の重傷を負った。車椅子が必要となったため落ち込んだが、両親から「障害を言い訳にしてだけは生きていくなよ」と声を掛けられ、アーチェリーや吹奏楽、バスケットボールなどを体験。前向きな大人と出会い、アルペンスキーにのめり込んでいったことを語った。
パラリンピックに初出場したのは2006年のトリノ大会で、結果を出せず、先輩が銀メダルを獲得して涙を流した姿を見て、「何て自分は情けないんだ。何の努力も覚悟もなく、すごく恥ずかしい」と思うようになったという。帰国後は練習の時間や日数を増やし、10年のバンクーバー大会のスーパー大回転、14年のソチ大会の滑降とスーパー大回転では金メダルを獲得した。
18年の平昌大会、22年の北京大会にも出場し、同年7月に日本代表を引退した。競技生活でさまざまな経験をしたことを振り返り、「パラリンピックは非常に素晴らしい世界。人生に重きをおいて挑める舞台で戦わせてもらい、うれしかった」と感謝した。
引退した今は、障害者や健常者に車椅子で移動をしてもらう活動に取り組んでいる。今後は安平町に移住して活動拠点とし、道内各地でイベントを開催していく考え。「困難があっても、考え方と工夫で乗り越える成功体験をしてもらいたい。子どもたちには何でもいいから行動してほしい」と話した。