ドジャースの大谷が長嶋さんに負けないフルスイングで、惜別のアーチを架けた。2点を追う七回2死から右越えの23号ソロ。高く上がった打球を見上げ、その場で何度もうなずいた。
現代で日本の野球ファンを魅了しているのが大谷なら、昭和のスーパースターは長嶋さんだった。もし同じ時代に投手の大谷が対戦していたら、どうだっただろうか。警備会社セコムのCMではCGで再現された現役時代の長嶋さんと対戦する「共演」がかなった。その際のインタビューでは「プロ野球といえば長嶋茂雄さんだと思う」「空振りを奪ってヘルメットが落ちる絵がマウンドから見られたら最高」などと笑顔で話している。
野球の枠を超えて、社会の中で大きな影響力を持つところも両者の共通点と言える。3月に東京ドームで行われたカブスとの開幕シリーズで帰国した大谷は、巨人とのプレシーズンゲームのときに長嶋さんと記念撮影をした。それから3カ月弱で届いた訃報。自身のインスタグラムに当時の写真と「心よりご冥福をお祈りいたします」との言葉を投稿し、プロ野球の大先輩を悼んだ。