白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)で、アイヌ民族の保存食「サッチェプ」(干し魚)作りが行われている。屋外の干し棚に130匹のサケがずらりとつるされ、来園者の目を楽しませている。
肉や魚、山菜などさまざまな食材を保存処理したアイヌ民族。ウポポイでのサッチェプ作りは、伝統の食文化を復興、継承する取り組みで、昨年に続き今冬も若手職員らが作業に当たっている。
職員らは13日、塩漬けにされた白老産のサケを丁寧に水洗いし、マツの丸太で組んだ高さ約4メートル、幅約10メートルの干し棚にひもでつるした。よく乾燥させるため、内臓を取り除いた腹の中をヨモギの枝で広げ、寒風にさらした。
来年2月中旬ごろまで厳寒の屋外で干した後、園内のチセ(かやぶき家屋)に移し、いろりの煙で2カ月ほどいぶしてうま味を引き出す。手間をかけて作ったサッチェプは、ウポポイのアイヌ料理体験プログラムで活用する。
アイヌ民族はサケを神の魚(カムイチェプ)と呼び、重要な食料としたほか、皮を靴に加工するなど余すことなく利用した。寒風干しも盛んに行われ、冬のコタン(村)の風物詩となっていた。