むかわ町の鵡川中学校(広田智人校長)は2018年9月に発生した胆振東部地震の教訓を今後に生かすため、9月から地震や津波などに備える防災教育を活発化させている。今月は町民を招いた合同学習に初めて取り組んだ。震災の記憶を風化させないため、日ごろから防災・減災を考える機会を設け、いざという時のための意識を高めておく考えだ。
同校では9月に防災講話のほか、津波避難3原則や避難できない人の心理について学ぶ授業を実施。今月1、5日には2年生と町民を合わせた約60人が、防災について共に考える授業を行った。生徒と町民で町内の団地、小学校、道の駅などハザードマップで示されている被害発生予想箇所を実際に歩き、津波の浸水深や到達時間などを写真や図と照らし合わせながら確認した。
フィールドワークで学んだことを基に災害図上訓練(DIG)も行い、グループごとに地図を使って津波の浸水区域から安全な場所への避難方法について意見交換。生徒と町民が一緒に知恵を出し合い、経路や避難にかかる時間を机上でシミュレーションした。
吉村駆流さん(14)は「危険な所がたくさんあったが、避難経路はいろいろあることが分かった。以前より自信を持って防災について考えることができた」と話し、鵡川婦人団体連絡協議会の本間幸子さん(80)は「フィールドワークに参加し、今まで自分が考えていなかったことが分かって勉強になった」と振り返った。
防災教育を担当する片岡鉄也教諭は「これまでの取り組みで意識が高まってきた。町民と防災について考えることで、お互いを知るという目標も達成できた」と一定の手応えを実感。今後は防災食や津波のメカニズムについて学ぶ時間をつくることを考えており「どの学年でも防災学習を日常的に組み込んでいく。何かあったときには率先して自助、共助の気持ちを持つようにしたい」と生徒たちに期待している。