道内各地の工芸家と連携 ウポポイで製作実演 アイヌ民族文化財団 毎月公開プログラム展開 白老

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  • 2021年11月8日

 アイヌ民族文化財団(本部札幌市)は、道内各地のアイヌ工芸家らと連携し、白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)で工芸技術を実演公開する取り組みを始めた。文様刺しゅうや木彫りなどの製作技術を紹介するプログラムを毎月組み、アイヌ文化の深みと多様性を伝える。

 舞踊や工芸などアイヌ民族の文化には地域性があり、各地で受け継がれている。そうしたアイヌ文化の地域特性をウポポイから発信するため、同財団は道内各地の工芸家や伝承者を招き、来場者に製作技術を見てもらう事業を企画。今月から毎月、ウポポイの工房を会場に公開プログラムを展開する計画だ。

 初回の6、7日は、白老町の岡田育子さん(72)=北海道アイヌ協会認定優秀工芸師=がアイヌ文様刺しゅうの製作を実演。町内の文様刺しゅうサークル「フッチコラチ」代表を務め、北海道アイヌ伝統工芸展優秀賞など数々の受賞歴を持つ卓越した技で布に刺しゅうを施す様子を披露した。見学した来場者の女性(60)は「素晴らしいの一言。これほどの技術を身に付けるまでにどれほどの努力を重ねたのでしょう」と感動の表情を浮かべた。

 岡田さんは「生きたアイヌ文化の技をウポポイで見せるのは、自分自身にとっても励みになる。他の工芸家の実演も見学してみたい」と話した。工芸家の奥深い技はウポポイの若手職員にも刺激を与え、文化振興部体験教育課主任の山道陽輪さん(32)は「とても勉強になります」と語った。

 ウポポイでは13、14日に平取町二風谷の貝澤雪子さん(刺しゅう・織物)と関根真紀さん(同)、20、21日に同じく二風谷の貝澤守さん(木彫)と貝澤美雪さん(刺しゅう・織物)、27、28日に白老町の山崎シマ子さん(編み物・刺しゅう・織物)が実演を予定。来月以降も土日曜日を中心に企画し、ウポポイのホームページで日時や実演者について案内する。

 同財団はアイヌ文化の多様性を伝えるため、道内各地のアイヌ古式舞踊保存会をウポポイに招き、国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統の舞いを披露する活動も7月から続けている。

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