白老町のヨコスト湿原友の会(中野嘉陽会長)は25日、同湿原で環境調査を兼ねた自然観察会を開いた。参加者は、胆振地方の海岸で最大級とみられるイソスミレ群落が自動車のタイヤに踏み荒らされた現場を目にし、貴重な自然を守る手だてを考えた。
観察会には同会のメンバーら11人が参加し、秋の湿原を見て回った。この中でイソスミレ群落の一部が消滅した現場を確認した。
ヨコスト湿原のイソスミレ群落は、胆振地方で最も大きいとされ、同湿原の豊かな自然環境を物語る植物。湿原に入り込んだ自動車のタイヤに踏まれて消えたとみられ、参加者からは「車が進入しないようロープを張るなど保護の対策を取らなければならない」といった声が上がった。
外来種のユウゼンギクが分布を広げ、湿原の在来植物に影響を与えている状況も把握し、環境省の「日本の重要湿地」に選定されている自然環境を保全する必要性について改めて認識を深めた。
ヨコスト湿原は町日の出町と社台にまたがる低層湿原で面積33ヘクタール。海岸や沼地、河川、草原、樹林帯など複雑な自然環境を形成し、多種多様な動植物が生息する。町が2010年に実施した環境調査では植物463種、野鳥64種、昆虫209種が確認され、絶滅危惧種も少なくない。同会は保全の手法を探るため今年度、湿原の植物や野鳥の調査を進めている。