白老町内の川でサケの遡上(そじょう)が始まった。産卵のため、必死に川をさかのぼり、命をつなぐドラマを繰り広げている。
外洋を回遊して大きく育ち、生まれ故郷の川へ戻って卵を産む。そうした”母川回帰”が町内を流れる川でも見られるようになった。
水の強い流れに逆らい、力を振り絞って上流を目指す。子孫を残すための命懸けの営みだ。産卵の使命を果たした後は、ぼろぼろに傷ついた体を静かに川底に横たえる。死骸は森の生き物たちの栄養に。命が尽きても、ふるさとへの恩返しを忘れない。秋の深まりに伴い、遡上はこれから本番を迎える。