任期満了に伴う23日告示の厚真町長選で4選を果たした宮坂尚市朗氏(64)。3月6日に出馬を正式に表明し、この間告示日まで対立候補は出ることなく、無投票で4選が決まった。3期12年の豊富な経験と実績に加え、2018年9月に発生した胆振東部地震からの復旧復興に力を注いできた取り組みで高い評価を得たことが、無投票当選につながったとの見方だ。
特筆できるのは震災以降のスピード感を持った動き。震災があった18年、年内は難しいとみられていた避難所の閉鎖を果たし、19、20年度は震災からの復旧復興をメインに120億円を超える大規模な一般会計予算を編成。的確な意見を国や北海道に上げ、被災者の住環境整備や営農の再開を迅速に進めてきた。町民から一定の評価を受け、対立候補を擁立しにくい状況にあったともいえる。
当選が確定した23日夕、同町本町の後援会事務所へ祝福に駆け付けた自民党の堀井学衆院議員は「今回の町長選は厚真町の未来を懸けた戦い。震災直後、復旧復興のために昼夜を問わず、寝る間も惜しんで働いていた町長の姿を考えれば、当然の結果」と言い切った。
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宮坂氏は4期目へさまざまな政策を打ち出しているが、軸は「1丁目1番地の課題は胆振東部地震からの復旧復興」に尽きる。
当面は自宅が損壊し、仮設住宅に入居する被災者の住まいの再建。町は現在、災害公営住宅、公営住宅の建設を急いでおり、仮設住宅の入居期限が切れる10月末までに住み替えできる環境を整える。
また、震災で被害の大きかった北部山間地域においては、生活拠点の再生と多機能型地域運営組織の構築、集落支援員の配置、富里地区に予定している新たなコミュニティー施設の建設なども一気に進めていくことになる。役場新庁舎建設のスケジュールなども盛り込んだ復旧・復興計画第3期は年度内に策定する考えだ。
無投票を含めた選挙結果について、宮坂氏は「大規模な震災から厚真町がどう立ち上がっていくのか。日本が災害列島であるからこその注目であると思う」と冷静に受け止める。町の再建を託されたリーダーとして、その手腕に町内外から視線が注がれている。
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胆振東部地震からの復旧復興という最重要テーマを掲げ、4期目を迎える宮坂町長。町民の「笑顔と輝きを取り戻す」ためにどんなまちづくりを進めていくのか。山積する課題と今後の取り組みを探る。2回連載。