ウポポイ開業へ準備加速 事業者、観光客増に期待 白老

  • ニュース, 白老・胆振東部・日高
  • 2020年6月20日

 新型コロナウイルスの影響で開業が遅れていたアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)のオープンが7月12日に決まり、地元白老町の事業者が経済波及効果へ期待を高めている。観光客の入り込み増を見込んで商品を開発したり、創業したりした事業者は、2度の延期に振り回され、打撃を受けた。ようやく定まった開業日に向けて準備を急ぐ事業所もある。

 白老中心部にある大町商店街の店舗でつくる白老商業振興会(久保田修一理事長)は、開業日の決定を受け商店街への誘客に向けた動きを再開。観光客にアイヌ文化のまちをアピールするため、アイヌ文様風デザインを取り入れた各店の看板を作り、近く設置作業を始める。商店街通りの花壇を整備し景観改善も進める。歩道利用の国の規制緩和制度を活用し、観光客が休憩できるベンチを通りに置くことも考えており、久保田理事長は「商店街全体がコロナ禍や延期で打撃を受けた中、ウポポイ開業を生かして回復につなげたい」と意気込む。

 コロナ禍の影響をもろに受けた宿泊業界も開業に期待を高める。虎杖浜温泉ホテルは、ウポポイ見学で白老を訪れる観光客の宿泊需要の取り込みへホテルのPRに力を入れていく。ロビーにウポポイ関連や白老観光のパンレットを今後取りそろえていき、アイヌ文化発信拠点を構える地域の魅力をアピールし、リピーターを増やしたいという。新型コロナによる都道府県またぎの移動自粛も緩和された中、池田広恵支配人は「ウポポイを少しでもプラスに生かしたい」と話す。

 ウポポイ内のテナント施設にテークアウトの「スイーツカフェななかまど イレンカ」を開設する社会福祉法人白老宏友会・多機能型事業所ポプリ(有城雅章施設長)は、開業へ向けた準備を加速させる。同町東町の施設では開業日の決定を受け、道産チーズ使用のカップチーズケーキ(150円)や道産リンゴ入りアップルパイ(380円)の下ごしらえを本格化。施設利用者の小笠原勉さん(66)は「オープン日が決まったので、うれしい。頑張って作りたい」と笑顔で作業に当たる。有城施設長は「店内でコロナ対策を講じ、ウポポイに多くの人が訪れることを楽しみに準備に励みたい」と話した。

 町の創業支援事業を利用して昨年秋に大町商店街でカフェ・雑貨販売店を開いた佐々木美保さん(41)は「ウポポイの開業で多くの人が白老を訪れてほしい」と願う。町内で民泊も経営しており、「『ウポポイって何だろう』と白老のことを調べ、宿泊先に選んでくれるようになれば」と期待する。同じ商店街でカフェを営む田村尚華さん(45)も「ようやくという思い。まちが元気を取り戻すきっかけになれば」と話した。

 町内には個人、法人の約650事業所があり、そのうち新型コロナによる深刻なダメージを受けた飲食・宿泊業は約150施設ある。町商工会は「ウポポイに期待して店を創業したり、投資したりした飲食や観光のサービス業は特に開業遅れやコロナの影響を大きく受けた。商工会としても今後、ウポポイ効果を取り込もうとする事業者を支援したい」と言う。

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