「少年と犬」が第163回直木賞(日本文学振興会主催)の候補作に選ばれた浦河町出身の小説家、馳星周さん(55)。同賞候補は7回目となる。今年も7月から9月にかけて”浦河暮らし”を予定しており、受賞発表の7月15日は町民有志や関係者と共に故郷で初めて受賞の当落を確認する催しを予定している。
長野県軽井沢町に住む馳さん(本名・坂東齢人)は、小学5年生まで浦河町堺町小に通い、教員だった母親の異動で日高町富川に移った。苫小牧東高、横浜市立大文理学部卒業後、1996年のデビュー作「不夜城」がベストセラーとなり、初めて直木賞候補になった。
愛犬家の馳さんは昨年7月から9月、夫人と大型犬2匹と共に浦河に短期滞在した。「最近の軽井沢の夏は異常気象で暑過ぎ、犬がばてている。浦河は涼しくて快適」として、昨年から今夏の来町を決めていた。
今回の候補作「少年と犬」は、馳さん自身のブログでもストーリーを紹介。馳さんは「宮城県気仙沼。運命的に出合いを果たした少年・光とシェパードの血が入ったミックス犬の多聞。東日本大震災によって、多聞は飼い主を失い、光は両親とともに熊本に移住する」「魂の伴侶たる光を追って日本列島を縦断する多聞と、多聞が出合う人たちの人生、そして光との絆を描く物語でございます」とし、犬好きなら感涙必至と紹介している。
7月15日に催す浦河での「直木賞の当落を聞く会」の開催時間や場所は未定だ。