白老町は、町立国保病院の改築基本計画素案を取りまとめ、29日の町議会特別委員会に示した。新病院は2025年度の開設を目指し、建設地は現在の病院隣地(同町日の出町3)とした。一般病床数は今後の人口推計などを踏まえて現行58床を下回る40床に設定。併設の介護老人保健施設は、慢性期医療と介護を一体的に提供する介護医療院へ転換する方針とした。
素案によると、新病院の一般病床数については、40年までの長期的視点に基づく人口推計や構造、高齢社会での医療需要を見据えて算定。40床のうち22床程度は、広域的な医療連携で回復期患者を受け入れる地域包括ケア病床とした。リハビリテーション機能も強化し、自宅生活などへの早期復帰につなげる。
救急や急患の受け入れも継続し、40床のうち3床を救急病床に活用。他の2次医療機関や専門病院との連携も図り、地域医療圏の救急医療の一翼を担う。診療科目は、75歳以上の後期高齢者の長寿命化傾向も踏まえて「内科」「整形外科(または外科)」「小児科」を基本とし、出張医による専門外来診療も続ける。
併設の介護老人保健施設きたこぶしについては、回復期治療後の慢性期患者の受け皿として適切な医療、介護サービスを提供する介護医療院に転換。定員は現行29人から19人へ変更する。
新病院の建設場所は現病院の南東側隣地とし、南北に細長い形の施設を建てる考えを示した。用地に関しては従来、現病院敷地(1万4529平方メートル)内の現地改築、大町の旧白老小跡地、川沿町、末広町の町有地の4カ所を候補として挙げていたが、通院に伴い買い物もしやすい環境にある利便性を考慮し、現地改築に絞り込んだ。
新施設は鉄筋コンクリート造り2階建て、延べ床面積4100平方メートルを想定。一般病床40床と介護医療院の19床を備える。
改築スケジュールは、21年度に基本設計、22年度に実施設計を行い、一部用地取得を経て24年度に着工。25年度の移転、開院を目指す。建設費や医療機器購入費を含めた総事業費は、新病院で23億6000万円、介護医療院で3億4400万円を想定。起債や補助金などを財源に充てる。
町は町議会の議論を踏まえて今年度内に改築基本計画を策定し、懸案の新病院建設に向けて本格的に動きだす。
病院改築をめぐって町は、公設公営で病床数を43床程度とする改築基本構想を16年度に策定。その翌年の17年度に公設民営・無床診療所化へと方向転換した。町議会や町民の批判もあって18年度には「公設公営・入院機能維持」へ再び方針を変更。昨年8月に「公設公営・病床数20床以上」の基本方針を示し、今年2月には40床程度を目安とする方向性を出した。