白老町の仙台藩白老元陣屋資料館に、約400年前の江戸時代前期の甲冑(かっちゅう)=当世具足=が苫小牧市の男性から寄贈された。武士の関連資料を収集、所蔵する同資料館は「本物のよろいかぶとは大変に貴重」とし、常設展示物として来館者に紹介する考えだ。
寄贈された甲冑は2領。かぶと、胴、手甲などがそろっており、かぶとに大きなチョウの装飾や「桔梗紋(ききょうもん)」「丸剣片喰紋(まるにけんかたばみもん)」の家紋が施されている。同資料館の武永真館長は「1領は色鮮やかな具足であったことが想像され、位の高い武士が着用したものではないか」と言う。
甲冑を同資料館へ寄せたのは、苫小牧市澄川町の藤井勝行さん(74)。リサイクル業の仕事の関係者を通じて、2011年に水戸市のホテル経営者から譲り受けた。同ホテルはロビーに多数の甲冑を飾っていたが、東日本大震災で建物が崩れるなど大きく被災。難を逃れた2領を藤井さんが引き取った。「未来にわたり長く保管してもらうため、武士の関係資料を所蔵する仙台藩白老元陣屋資料館に寄贈することにした」と話す。
1856(安政3)年に仙台藩が築いた北方警備拠点で国指定史跡の「白老仙台藩陣屋跡」に立地する同資料館は、刀剣や古文書といった武士関連の資料を収蔵。甲冑は白老仙台藩陣屋関連などのレプリカ5領を所有しているが、武永館長は「本物の具足は初めて」と藤井さんの善意に喜ぶ。
資料館は現在、新型コロナウイルス対策で今月31日まで臨時休館を続ける予定だが、「再開後、さっそく常設展示コーナーで紹介したい」としている。