観光客がJR登別駅前で預けた手荷物を、新千歳空港を経て帰宅先または次の旅先の空港に届けるサービスの実証実験が4日から、同駅前の登別市観光交流センター「ヌプル」で始まる。観光客は手ぶらで観光や移動ができ、地域は手荷物を抱えた観光客による混雑で公共交通に乗れなくなるなどのオーバーツーリズムの解消が期待できる。 実験は11日まで。
事業主体は、千葉県のNPO法人次世代空港技術研究会を事務局とし、輸送、交通関係企業でつくる2024北海道OAC協議会(水野一男会長)。国土交通省の24年度「共創・MaaS実証プロジェクト」採択事業で総額は1200万円。事業が実現すれば国内初の事例になる。 観光客は窓口でスマートフォンの専用アプリを使い、搭乗便の登録やタグ発券、クレジット決済をした上で荷物を預ける。荷物は専用トラックで運ばれ、新千歳空港の搭乗便に積載される。
観光客は到着先の手荷物返却口で荷物を受け取る。
サービスは有料で荷物1個2000円。午後4時以降に新千歳空港を出発する全日空と日本航空の国内線全便(共同運航便を除く)で利用でき、ヌプルでの受け付けは午前9時~正午。実験は1日当たり計約1万人を対象とし、年内の事業化を目指すが、少なくとも1日100個の利用実績が必要という。
1月30日にヌプルで報道機関向けの説明会が行われた。同市内の行楽シーズンには、大きな手荷物を持った観光客で列車やバスの通路がふさがり、地域住民の乗り降りに支障を来す状況がたびたび見られたといい、水野会長(68)は「荷物が離れることで旅も楽になる。少しでも混雑が解消されたら地域住民への迷惑も抑えられるかもしれない」と期待する。