白老町教育委員会は9日、人口減少や少子高齢化で希薄化する地域コミュニティーの在り方を考える「地域課題セミナー」を町中央公民館で開いた。町民ら約100人が基調講演やパネルディスカッションを通じて住民がつながる大切さを学び、今後の地域づくりに必要なことについて頭を巡らせた。
地域課題について町民に気付きを促す恒例のセミナー。町青少年育成町民の会が後援し、今年度は「地域の幸せと発展~白老町における地域づくり」をテーマに開いた。
基調講演の講師は、町竹浦出身で一般社団法人とちぎ市民協働研究会の代表理事、廣瀬隆人さん(68)。自身が活動する栃木県には、ベンチのように座れるものを自宅の前に置く家が多いまちがあることを紹介。「住民につながりをつくらないと地域が住みづらくなる。いろんな所におしゃべりできるベンチが必要だ」と訴えた。
公共施設などの娯楽・文化講座は人と人をつなげる接着剤の役割を果たし、祭りなどのイベントはそれ自体はもちろん、事前の打ち合わせや作業が「地域づくりの要」と説明。「地域づくりは知り合いと友人を増やす活動そのものをいう。用がなくても顔を合わせ、おしゃべりをすることに尽きる」と語った。
パネルディスカッションは廣瀬さんが司会を務め、町内で活動するスポーツトレーナーの深見悠太さん(25)、飲食店経営の田村尚華さん(51)、白老東高校3年の成田初音さん(17)と堀部京華さん(18)の4人がパネリストとして登壇。日ごろの取り組みを発表した。
このうち田村さんは町社会福祉協議会との協働で、お金の代わりに人の得意なことを登録して運用する「とくいの銀行白老支店」を開設していることを紹介。高齢者や子どもの孤食を防ぐために町社協が開いている地域食堂で、料理の得意な人などが腕を振るっていることを報告した。廣瀬さんは「得られる利子は、つながりと幸せ。田村さんは公民館の役割を民間で担っている」とたたえた。