長島院長(中央)の話に耳を傾ける町議ら 白老町議会産業厚生常任委員会の産業厚生分科会は8日、全国初の天然温泉付き宿泊型助産所「助産院みなも」(町虎杖浜)を視察した。同分科会をまとめる飛島宣親町議ら委員と事務局の計8人が宿泊室や温泉を見学し、同院を運営する看護師で助産師歴29年の長島英津子さん(50)と現状や課題について話し合った。
国は産後1年の母子を産後ケア事業の対象としており、同院では特に、不安や緊張で不眠がちになるなど産後うつになりやすい半年以内の母子を重点に心身の健康支援に当たっている。
長島さんによると、昨年5月の開院から今年2月1日までの利用者60人のうち町民は18人で、町の同期間(昨年5月~今年1月31日)の出生数が34人だったことを踏まえると、約半数の親の利用があったことを説明。「孤独を感じていたので助かった」「利用しなければ気持ちが持たなかった」などの声が寄せられたといい、核家族化や共働きなどで孤独を感じながら育児をする母親たちの現状が浮かび上がったことも伝えた。
同院は長島さんと他の助産師の2人体制で24時間対応している。さらに長島さんの就労は実質無給状態で、分科会の委員らは活動への理解と同院支援の必要性で一致。「子は宝という町長の公約もある。持続可能な仕組みづくりが求められる」「生むことをためらわない環境をつくっていくことが重要」などの声も上がった。飛島氏は「町の育児に不可欠な施設と分かった。町に現状を伝え、課題を共有したい」と話した。
長島さんは、町社台のNPOウテカンパ(田村直美代表)と共に7年前から開いているママカフェも月70人以上に利用されていることを紹介し、「我慢して育児をする時代ではない。さまざまなサービスを利用し、手伝ってもらうことが、これからの育児環境の鍵になる」と訴えた。