いじめが原因になった小中学生や高校生の自死の報道があると、「加害者たちのその後」を思う。罪を問われることはなくても、自分の言動が基になって人が命を断った事実は、消えない。もし、相手の苦しみに気付いても謝る相手はもういない。どうすればいいのだろう―。
札幌市で2021年、中学1年生の女子生徒が自殺した。市教委は昨年12月、調査報告書を発表したが、事実関係が分からない「黒塗り」が批判され、14日に再公表した。遺書には、絶望の果ての皮肉なのか「いじめた人」に宛てた、こんな下りも。「いじめて、とても気持ち良かったでしょう」「被害者ぶって人に罪をなすりつけて楽しかったでしょう」
小学生の時に、いじめられた経験があるという女性の話を聞いた。転校生だった。髪の長さが気に入らなかったのか女子の一部の嫌がらせが始まり、髪を引っ張られた。悪口も広まって、怒った母は「学校なんか行かなくていい」とかばってくれた。しかし父は、はさみでジョキジョキと髪を短く切った。当時の不快は何十年たっても忘れていない。加害者のことを、今でも許していないそうだ。
札幌市教委は6年生当時の小学校長の1カ月減給など8人の処分も発表した。それで後悔は薄まるのだろうか。(水)