白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)で3、4両日、全道各地で活動するアイヌ民族の工芸作家らが展示販売やトークイベントを繰り広げる「アイヌアートショー」(アイヌ民族文化財団主催)が開催された。2日間で計8422人(前年同期比909人増)が来場し、工芸品などの魅力に触れた。
イベントは、アイヌ文化への理解を広げるのが目的で、体験学習館と周辺を会場に開かれた。
展示販売では、クマやフクロウの木工品、アイヌ文様を施した刺しゅう、小物類などを扱う14団体・個人がブースを開設し、作品を並べた。町内の刺しゅうサークル「テケカラペ」を主宰する町高砂町の山崎シマ子さん(82)は「昨年より多くの人たちに来てもらい、ありがたい」と話した。
トークイベントでは、5人の作家がマイクを握り、創作活動に至ったきっかけなどを語った。9月にウポポイ内で運行を始めた低速小型電動バスの車体デザインを手掛けた平取町二風谷地区の関根真紀さん(56)は「(ポロト湖などの)風景になじむ色合いにすることや文様の端を切らないことを心掛けた」と解説していた。
別会場では食文化体験も行われ、白老町大町の伊藤文子さん(72)らが調理したチェプオハウ(サケの温かい汁物)が振る舞われた。アイヌ民族文化財団の村木美幸運営本部長(63)、体験教育課の食チームスタッフ高橋磨輝さん(50)、伊藤さんが、オハウのレシピや昔と今の調理法の違いなどを紹介した。札幌市から親子3人で訪れた小学4年生の石川愛梨さん(9)は「オハウにまつわる話が聞けて楽しかったし、おいしかった。またウポポイに来て食べたい」と笑顔を見せた。伊藤さんは「おいしそうに食べてくれる表情は活動の励みになる」と顔をほころばせた。