鵡川高校3年の野本さくらさん(18)と瀬下音々さん(18)の2人が、鵡川漁業協同組合でインターンシップ生として職業体験を積んでいる。同漁協で職業体験を受け入れるのは初めて。2人は年末までの毎週土曜日、水産現場で漁業関係者や新鮮な魚介類に囲まれながら、学びを深めていく。
地域の歴史や自然、産業などについて学ぶ「むかわ学」の一環で、2人は「シシャモ以外の魚も有名にしたい」との思いから漁業をテーマに設定。同漁協の小定雅之専務理事が講師として同校を訪れた際に、「うちで働いてみますか」と提案したのがきっかけで一気に話が進み、今月6日から授業のない土曜日を利用して直売所で働いている。
現場では買い物客が注文する魚介類の梱包(こんぽう)や袋詰め作業のほか、実際に魚をさばいている様子を見学したり、おいしい食べ方などを学んでいる。フクラギやカジカ、ホタテと漁獲されたものが次々に売れる現場の活気も目の当たりにし、「シシャモ以外の魚も売れているのだなと実感できた。初めて見る魚もあったが、働いていくうちに区別がつくようになったし、いい経験になっている」と言う瀬下さん。野本さんも「スーパーで買うより安いので、たくさん買って家でさばいて食べている人がいると、働く人の励みになると思う」と語る。
高校生が現場に入ることで、職場にも自然と笑顔があふれている。小定専務理事は「若い人が入ってくると新しい風になるし、職員も喜んでいる。われわれだけではホタテを見て笑うことなんてないですから」と歓迎する。
同校では12月中旬、3年生がグループごとに地域の課題解決に向けた方法や商品開発、イベント企画などを町内の関係者に発表する場を予定。2人を含む4人のグループは漁業を通じた地域の活性化などをテーマに提言する。野本さんは「働いてみた感想だけでなく、どんな魚が売れているのかなど中間発表の時よりも内容を深めて伝えられるのでは」と手応えを語り、瀬下さんも「シシャモ以外の魚の魅力も広げていくためにどうしたらいいのか、味やメニューも考えて発表したい」と張り切っている。