厚真町観光協会は21日、胆振東部地震の被災地ツアーと避難所運営体験を組み合わせた厚真版の「震災学習プログラム」をスタートさせた。初回のこの日は、札幌白石中学校の3年生125人が修学旅行の一環で参加。被災現場を見学したほか、図面上で模擬避難所運営を体験し、3年前に起きた震災に理解を深めた。
同協会がこれまで行ってきた被災地ツアーと、模擬避難所体験を組み合わせた新たな取り組み。町全体で当時の経験を伝えることはもちろん、震災の記憶を風化せないよう防災、減災について考えてもらう機会も提供していくのが狙いだ。避難所運営体験では、図面上で避難所運営を模擬体験する防災ゲーム「HUG(ハグ)」の体験と段ボールベッド作りを用意している。
札幌白石中の生徒たちは、21グループに分かれ、防災ゲームに挑んだ。12月に避難所を開設したという想定で机上訓練を行い、「たばこを吸いたい」「ストーブがほしい」「犬アレルギーの人がいる」といった状況に対し、生徒同士で意見を出し合いながら避難所での対処法を考えた。三角晏生さん(14)は「個人的な意見が多く、条件に合わせて決めていくのが難しかった」と話し、「家族で避難場所がどこなのか、非常食がどれだけあるのかを確認し、災害に備えたい」と防災意識を高めたよう。
被災地ツアーでは幌内地区の厚幌ダムや山腹崩壊が起きた吉野地区や東和地区の現場を見学した。芝城志さん(14)は「ニュースで見た時よりもきれいになっているが、3年たっても完全に回復しておらず、災害の重さが身に染みた」と振り返った。
同校の森山正樹教諭は「自然災害と共生するにはどうしたらいいのかを考えてもらいたい。この後の振り返りとして、周りへの配慮や個人のジレンマをみんなでどう共有するか、今後生きていく中で直面する課題にどう向き合うのか、考える生徒が出てきてくれたら」と期待を寄せた。