製紙用薬品メーカーのハリマ化成(本社東京・大阪)が、白老町石山で運営する北海道工場を来年3月末で閉鎖することが分かった。紙需要減退に伴う日本製紙の道内工場の相次ぐ生産停止により、製品の供給先を失ったのが理由という。1962年に白老町で操業を開始した工場は、約60年の歴史の幕を閉じる。
北海道工場は、大昭和製紙(現日本製紙)が白老工場を構えたことを契機に開設。日本製紙を主力の取引先とし、紙の製造過程で使用する水溶性薬品を製造し、供給してきた。
しかし、デジタル化やペーパーレス化を背景に製紙工場の生産体制が縮小したことにより、製品需要は減退。日本製紙が2020年1月に勇払事業所、今年8月に釧路工場の紙生産を停止したため、「製紙用薬品の主要の供給先を失い、白老の北海道工場の操業を維持することができなくなった」(ハリマ化成大阪本社)と言う。
ハリマ化成は8月初旬、北海道工場の製品生産を停止。在庫の製品を日本製紙旭川工場や白老工場へ出荷している。人員体制も縮小し、同社は現在、北海道工場に勤務する社員5人の配置転換などを検討している。また、約3ヘクタールの広大な敷地を持つ工場の閉鎖後の活用方法に関しては未定という。
北海道工場の閉鎖について同社は「製品の生産は供給先があって成り立つ事業。非常に残念だが、致し方ない」と話す。約60年にわたり白老で操業してきた工場の撤退方針を受け、産業経済担当の竹田敏雄副町長は「地域に密着して運営し、町の経済に貢献してきた工場が無くなるのは残念の一言。しかし、会社側の事情があっての判断であり、仕方がない」と言う。
町は、同工場の閉鎖に伴う地域経済への影響について調べるという。