虎杖浜の浜料理を全国へ 過冷却温度技術を活用 白老プラセンタ 新鮮な状態で家庭へ 来月中旬に開始

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  • 2021年9月28日

 白老町虎杖浜で美容液を製造販売する白老プラセンタ(三浦優子社長)は、鮮度保持の技術を使い、虎杖浜の海産物料理を全国配送する事業に乗り出す。凍結前の「過冷却」と呼ばれる状態を維持する技術により、刺し身や生ずしなどを新鮮な状態で家庭に届けることができるという。虎杖浜の漁師や水産加工業者と連携し、10月中旬に開始する予定だ。

 過冷却は、液体をゆっくりと冷やすことで零度以下でも凍らない状態を指す。同社は、完全に凍結してしまう前の過冷却温度帯(マイナス4度未満)に注目し、生鮮食品への応用を発案。過冷却状態を維持する技術で、虎杖浜産の水産物を使った料理を全国に宅配する事業を始めることにした。

 宅配する料理は、サケやニシン、エビなどの生ずしや刺し身の盛り合わせ、魚のムニエル、サケのあら汁、うどん、野菜スープ、デザートのセット(3人前、送料・税込み1万2000円)。同社が開発した段ボール箱「過冷却おかもち箱」の中に、1品ずつビニール袋にパックした料理を詰め、凍らせたあら汁などを保冷剤代わりにする。こうした技術により、マイナス1・5度前後の過冷却温度帯を最大7日間維持でき、鮮度が高い状態のまま料理を配送することが可能という。

 事業に当たっては、虎杖浜の漁師本間洋司さん、水産加工業者のマルカメ南川水産(南川みな子代表)、イチヤマリ岸水産(岸洋樹代表)、カネボシ渡辺水産(渡辺範朗代表)と連携。本間さんは虎杖浜海域で取った魚介類など原料を用意し、水産加工業者3社が調理を担当。白老プラセンタが注文を受け、宅配便で配送するという役割分担で進める。同社のホームページなどを通じて注文を取り、10月中旬に開始。客へのアンケート結果を商品改善につなげ、量産体制を整えていく考えだ。

 同社は現在、過冷却温度帯の保持技術について特許を申請中。開発に当たった同社の三浦誠一工場長は「刺し身や生ずしなどを冷凍してしまうと、味落ちしてしまう。過冷却の場合、うまみや鮮度が落ちず、新鮮な料理を家庭に届けられる」と話し、「白老のふるさと納税の返礼品にも加えてもらい、虎杖浜の水産業界の発展につなげたい」と意気込む。

 事業開始を前に同社は27日、虎杖浜で10月1日から運営する飲食店「虎杖浜料理店みな」で宅配料理の試食会を開いた。参加した戸田安彦町長は「全国配送は白老の特産品のPRになる」と期待した。

 白老プラセンタは、白老牛の胎盤から抽出した有効成分で美容液や健康食品を開発し、販売。エステ業界や大手化粧品会社などに販売している。

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