厚真町出身で埼玉県にある尚美学園大学4年の澤田昇磨さん(22)は来年、ポーランドのサッカーリーグでプレーすることが決まった。年明け早々から異国の地でプロ選手としてのキャリアを踏み出す。「トップチームに上がって、他の国でも通用する選手になりたい。活躍して厚真を盛り上げていけたら」と熱い思いを語る。
町内で6歳からサッカーを始め、厚真中学校時代はクラブチームASC北海道でプレー。その後、道内の強豪・大谷室蘭高校に進んだが、3年時に右足靱帯(じんたい)を損傷し、チームは全国高校総体(インターハイ)に出場したものの自身の出番はなかった。「サッカーをやめることも考えたが、悔いが残っていた」といい、「大学で取り返そう」と同大に進学、1年時から活躍した。ポジションはボランチで、身長167センチと小柄だが、左右両足から繰り出すロングキックの精度が持ち味だ。
大学卒業後の進路を考えたとき、「海外でサッカーをしたい」との気持ちが固まった。大学の先輩を介して現地のチームと交渉を進め、契約が決まった。ポーランドをはじめ欧州は「体が強く、スピードも速い印象だけど、厳しい状況の中で成長したい」と迷いはなかった。
3年前の胆振東部地震で大きな被害を受けた故郷への思いも後押しになった。「(発災時は)埼玉にいて1年生だったが、知り合いから電話が来た時にはゾクッとした。厚真の人たちは家族のような存在だったし、友達も多かったから」と明かす。復興の一助として「自分が何かできることがあるとすれば、元気な姿を見せること。海外に行くことも一つの架け橋になるのでは」と考える。今月中旬まで母校の厚真中で教育実習を行い、その思いをさらに強くした。
ポーランドのリーグでは、元日本代表の松井大輔選手もかつてプレーした。澤田さんは5部リーグのチームからスタートするが、活躍次第でシーズン途中に上のリーグからオファーが来ることもあり得る。「しっかりステップアップして、一つずつ上がっていきたい」と青写真を描く。