施工不良を謝罪 豊沢地区の盛土造成滑動崩落防止工事 岩倉建設 監督体制強化し再工事 厚真

  • ニュース, 白老・胆振東部・日高
  • 2021年9月17日

 2018年9月の胆振東部地震で、地割れや地盤沈下などが起きた厚真町豊沢地区の移住者向け住宅地「ルーラルビレッジ」の大規模盛土造成滑動崩落防止工事において、施工不良があったとして町は16日、ルーラルマナビィハウスで住民説明会を開いた。施工した岩倉建設(本社札幌市)の鈴木泰至社長は「住民の皆さんに大変ご迷惑と不安を与えてしまった」と謝罪した。

 工事は6億9000万円の大型事業で、昨年7月から今年3月中旬にかけて実施。地盤を強化する抑止杭工や抑え盛り土工の造成工事をした。

 同社によると、地滑り抵抗力を付ける盛り土において、籠状の金網の内部に玉石を詰めて工事に使用する工法「ふとんかご」に大小規格外の玉石が混入していたため、石の重圧でふとんかごが変形。小さな石は外に出るなどし、籠の中に大人の握り拳が入るほどの隙間ができた。また、小さな石が出るのを防ぐために敷いた補強材もすでにさびていた。

 このほか、埋め立てに使った栗石に規格(6~15センチ)外の石や細粒が混入していた。町道の舗装では、不陸(凹凸がある)、亀裂などが見つかった。いずれも地域住民でつくる「ルーラル・フォーラム地区復興特別委員会」が見つけ、6月下旬、町に指摘していた。

 今回の施工不良箇所について、同社は「現場納入時に寸法検査を怠った。品質がきちんと管理されていると信じ切っていた。出荷元での規格を確保する方法が不適切だった」などと原因を説明。21日から自費で行う再工事では、役員相当の統括責任者を配置するなど体制を強化するほか、施行基準を通常よりも厳格化する。また、町などと段階ごとにきめ細かに確認を行うなど監督体制を整えて工事を進める考えを示した。

 鈴木社長は「出された意見を社内で検討し、現場の条件、材料の精査など的確な施工計画を講じていく。できる限り早く安心して住める状態にしていく」と理解を求めた。

 町としても監督検査に外部の技術者を増員し、体制の強化を図る。宮坂尚市朗町長は「粗雑な工事になったことを発注者の責任としておわびしたい。再発防止の手だてをし、工事をやり直し、皆さんの安全安心を守っていく監督体制を敷いていく」と述べた。

 

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