老朽化や景観改善へネットで費用募る しらおい創造空間「蔵」 目標の3倍超の支援金 たくさんの応援に感謝

  • ニュース, 白老・胆振東部・日高
  • 2021年9月15日

 白老町の芸術文化施設・しらおい創造空間「蔵」の老朽化や景観改善に向け、管理運営するNPO法人がインターネットのクラウドファンディング(CF)で費用を募ったところ、目標額の3倍を超える支援金が寄せられた。予想以上の協力が得られ、関係者は「たくさんの応援を背に文化発信の取り組みにより頑張りたい」と意気込む。

 同町本町にある「蔵」の建物は、軟石の石材で大正時代に酒蔵として建てられた。白老に残る歴史的建造物を芸術文化の創造や発信の場にしようと、有志が立ち上がり、2000年11月にしらおい創造空間「蔵」をオープン。町民でつくるNPO法人しらおい創造空間「蔵」が建物を町から借り受け、音楽、演劇といった鑑賞や文化団体への貸し館などの事業を行っている。

 音響設備を備えた石倉は頑丈ながらも、ロビーや事務所などに使用する木造2階建ての建物は老朽化。2018年9月の胆振東部地震の際には、外壁に亀裂が発生。町が応急措置で建物をブルーシートで覆ったが、今もそのままの状態になっている。

 建物の老朽化と景観改善の対策を施し、歴史的建造物を存続させるため、同法人はCFで費用を調達するプロジェクトを企画。白老特産品のタラコや白老牛肉、口で音を奏でるヒューマンビートボックスの人気グループ「4thGAS」の特別ライブ配信など、支援金の額に応じた返礼品を用意して6月28日に開始した。

 目標額は100万円とし、インターネットで協力を呼び掛けたところ、地元をはじめ全国から続々と支援金が集まった。「蔵までわざわざ届けてくれた町民もおり、感激した」と同法人事務局の担当者は喜ぶ。

 CFを今月12日まで続けたところ、国内各地に住む375人から計304万5500円が寄せられ、目標額の3倍超に上った。予想を大きく上回る結果について、同法人の毛笠史寛会長は「感謝でいっぱい。蔵に寄せてくれた多くの人々の思いを受け止めて、まちの宝とも言える建物を守りながら文化活動をより深めていきたい」と話す。

 同法人は支援金を活用し、「蔵」の木造建物を覆うブルーシートの上に白色系の巨大な布調シートをかぶせるなどして景観を改善。見栄えの良い新しいシートは、プロジェクションマッピングや白老の歴史を伝える写真を投影するスクリーンとしても利用したいという。

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