アイヌ政策関連予算概算要求額 総額66億8700万円 ウポポイ関連に36億6600万円 内閣官房

  • ニュース, 白老・胆振東部・日高
  • 2021年9月2日

 内閣官房アイヌ総合政策室は、各省庁の2022年度アイヌ政策関連予算の概算要求額を取りまとめた。総額は66億8700万円で、今年度当初予算比で16%伸びた。白老町で開業した民族共生象徴空間(ウポポイ)関連では、博物館や公園など施設の管理運営費などとして、同21%増の36億6600万円を盛り込んだ。

 概算要求額は内閣府、国土交通省、文部科学省、農林水産省、厚生労働省など各省が22年度に計画するアイヌ関連事業の予算総額(端数は四捨五入)。今後、財務省と協議して固める。公益財団法人アイヌ民族文化財団(本部札幌市)が運営するアイヌ文化復興・発信拠点のウポポイ関連では、国立アイヌ民族博物館や国立民族共生公園、慰霊施設の管理運営費として38億8800万円を計上し、今年度当初予算比で約8億円増やした。また、慰霊施設関連では、アイヌ民族の遺骨返還に向けた手続き支援や、研究の在り方を検討するための予算として600万円を盛った。

 アイヌ施策推進法(19年5月施行)に基づくアイヌ政策推進交付金は23億300万円とし、今年度当初予算比で3億円増。同交付金は、アイヌ施策推進地域計画を策定した市町村の申請に基づき、アイヌ文化を生かした地域振興策の費用を支給する制度。白老町では今年度、1億7000万円の交付金を確保し、アイヌ文様ラッピングバス運行やアイヌ文化の振興事業、小中学校への学習支援員配置などに活用した。22年度も引き続き、事業費の確保に向けて申請手続きを取る方針だ。

 アイヌの人々の生活向上事業も引き続き計画し、概算要求で総額3億6100万円を盛った。事業は修学支援(高校生や大学生への奨学金補助)で7000万円、雇用と生活の安定(就職相談や生活館運営補助)で9800万円、中小企業の産業振興(アイヌ民工芸品の展示会や研修会の開催費補助)で700万円、農林漁業振興(経営近代化施設の整備補助)で1億8100万円、生活安定(生活相談事業)で600万円などを組み込んだ。

 この他、アイヌ文化の振興・普及啓発事業費として、アイヌ民族文化財団への補助金3億900万円、消滅危機にあるアイヌ語の保存・継承に向けたアーカイブ(保存記録)事業費2000万円を要求する。さらに、国のアイヌ政策推進会議開催費などで1900万円、アイヌ民族への偏見や差別を解消するための人権啓発事業費800万円などを盛った。

こんな記事も読まれています

ニュースカレンダー

紙面ビューアー