苫小牧保健所(堀幹典所長)は27日、新型コロナウイルスの道への緊急事態宣言や同保健所管内(東胆振1市4町)の感染拡大を受けて記者会見を開いた。8月の苫小牧市の感染者は30代以下が3分の2と若年層への広がりが顕著で、堀所長は「一人一人が感染機会を減らす取り組みを実践することが重要」と改めて対策の徹底を呼び掛けた。さらに「(札幌市、旭川市など10市町村が対象の)特定措置区域と同様に捉えなければ、来週以降の感染者が増える要素がある」と警鐘を鳴らした。
同保健所は、感染急拡大の要因について「特定はできない」とした上で、夏休みやお盆の帰省、部活動の遠征などを挙げ、「会食やキャンプ、バーベキューで普段会っていない人との接触があり、家庭内感染する事例も目立った」と述べた。
また、感染力の強いデルタ株(インド由来の変異株)への置き換わりも一因と説明。苫小牧市の1週間(日~土曜日)の感染者数が、8月1~21日の3週間で54人、58人、90人と急増していることを指摘し、同市が札幌市への通勤圏や物流の拠点であることなどから「大規模な工場や事業所で働く若い労働者も多く、若年層を中心とした感染が増えた」と述べた。同3週間の感染者数を年齢別に見ると、10代までが32%、20~30代が34%、40~50代が27%で、50代以下が93%を占め、ワクチン接種が進む60代以上は1割以下という。
管内の医療体制については、無症状、軽症であれば基本的に自宅療養とし、寮生活者、仕事や合宿などで訪れている旅行者など、自宅療養が困難な場合は宿泊療養になることが多い。入院は重症、中等症患者で、がんや心筋梗塞といった基礎疾患を抱える人、BMIが高い肥満の人など、重症化リスクの高い要素も併せて必要性を判断している。
堀所長は「感染症病床は現段階で逼迫(ひっぱく)するまでに至ってはいないが、医療資源には限りがある。感染者が急激に増えればいずれ満床となる」とし、「すぐに治療できない患者が増え、適切な医療を提供できなくなる可能性がある」と警戒感を示した。
同保健所は地域住民に対し、これまで通り▽マスク着用▽せきエチケット▽手洗いの徹底―を呼び掛け、改めて3密を可能な限り減らす努力を求めた。また、家族内で体調不良者が出た場合、登校や出社を控えることや速やかな受診などの必要性も訴えた。