全国大会断念しピアノリサイタル 感謝の気持ちを演奏 白老小6年の本谷 心君

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  • 2021年8月25日

 白老小学校6年の本谷心君(11)が、しらおい創造空間「蔵」(白老町本町)でピアノリサイタルを開いた。新型コロナウイルス感染拡大の影響を鑑み、目標にしていたピティナ・ピアノコンペティションへの参加を辞退。その代わりに―と、両親が心君へ単独リサイタルの場を設けた。日ごろお世話になっている人や家族へ、演奏を通じて感謝の気持ちを届けた。

 父・信さんが趣味でピアノを演奏していたことをきっかけに、心君は4歳でピアノを習い始めた。苫小牧市と白老町のピアノ教室に7年前から通い続け、今年初めて地区予選・地区本戦を勝ち抜き、同コンペティション全国大会の切符をつかんだ。

 しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大。ピアノを始めてからずっと目指してきた大会だったが、「参加してもし感染したらと思うと、辞退した方が周りや自分のためになる」と考え、コンペティション不参加を決めた。悩み続ける心君の姿をそばで見ていた母・純代さんは「参加したかったはずなのですごく葛藤していた」と話す。

 そこで両親は心君のために15日、リサイタルを開くことに。「心にとって大切な人を呼んで、思い出に残るようにしたかった」と純代さん。会場には、心君が生まれた時から親しくしている隣人で、教員の吉原浩司さん(53)とその家族を招待した。

 演目や曲間のトークなどはすべて心君が決めた。「ピアノを始めた当時の曲や自分の大好きな曲、全国で弾く予定だった曲を詰め込んで10曲にした」と話す。信さんから「自分だけのリサイタルを思いっきり楽しんで来い」と勇気づけられてステージに上った。

 演奏し終えた時の素直な感想は「楽しかった、の一言に尽きた」で、「コンクールではいつも緊張するが、自由に楽しく演奏できた」と1時間に及ぶリサイタルを振り返った。

 足を運んだ吉原さんは「音楽に表情を感じた。すてきな演奏で、すごく幸せな時間だった」と大絶賛。

 心君は「これからもピアノを続けていきたい」と話す。「また来年も全国大会まで駒を進め、今年の分まで頑張りたい」と笑顔で語った。

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