苫小牧市などが主催した全国高校選抜アイスホッケー大会で新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)が発生した問題で、岩倉博文市長は23日、市役所で記者会見を開き、「感染力に対する判断を誤った。深くおわびを申し上げたい」と陳謝した。道外選手4人の感染を確認しながら大会を続行した点や、感染症拡大防止対策を定めた基本方針についても判断ミスがあったと認めた。今後、国立感染症研究所など専門機関の原因調査を踏まえ、再発防止に向け検証を行う方針を示した。
市によると、大会は3~8日、白鳥王子アイスアリーナなど市内3会場で無観客で開催。26チーム計522人の選手に加え、学校関係者や大会スタッフを含め917人が参加。感染者の累計は22日時点で、10(市内3、道内5、道外2)チームの計138人に上る。
7日の準決勝直前、道外出場校が選手4人の発熱を報告し、準決勝を棄権。市は翌8日の3位決定戦も中止したが、同校と決勝に進んだ2校が対戦していなかったことから、8日午前に4人の陽性の連絡を受けたものの同日午後の決勝戦を予定通り行った。続く閉会式には岩倉市長も出席した。
この判断に対し、岩倉市長は「結果として判断が甘かった」と非を認め、「感染力への判断をこの時点でなかなかすることができなかったのが大きな反省点」と説明した。感染防止の基本方針では、発熱者が出た場合、発症2日前までに接触があったチームは出場できないなどと定めていたが、感染判明時の大会中止の基準まで決めていなかったことも「反省点」(木村淳総合政策部長)とした。
出場校は緊急事態宣言対象地域からもあったが、インターハイなどを参考に選手らへの事前のPCR検査までは求めていなかった。岩倉市長は「PCR検査を毎日やるとなると相当な費用で、大会運営の中では無理があった」としながらも「感染力の強さを考えれば、結果論だが、検査をすべきだった」とも述べた。
岩倉市長は改めて原因究明と検証を進め、再発防止に努める方針を示し、「このような結果となり、本当に申し訳ない。日本のアイスホッケーのためにも、しっかりと取り組んでいかなければ、という考えです」と強調した。
全国高校選抜アイスホッケー大会のクラスターをめぐる動き
3日 苫小牧市で全国高校選抜アイスホッケー大会開幕。開会式は行わず
4日 白鳥王子アイスアリーナなど3会場で無観客のトーナメント戦開始
7日 道外出場校が午前10時半、選手4人の発熱を報告。同日の準決勝を棄権し、不戦敗
8日 PCR検査で同校選手、コーチら計29人の陽性判明。大会は決勝戦と閉会式を行い閉幕
10日 苫小牧市は午前10時、記者会見を開き、大会の感染拡大を公表。道は午後6時、クラスター認定を発表
13日 閉会式に出席した岩倉博文市長と大会運営スタッフだった職員を道が濃厚接触者に認定。市長含め77人が自宅待機。市役所8階の一部を16日から20日まで立ち入り制限
14日 施設職員が濃厚接触者となり白鳥王子アイスアリーナ、ダイナックス沼ノ端アイスアリーナ、新ときわスケートセンターの3会場と、ときわスケートセンターを22日まで臨時閉館
16日 市職員の感染は2人と判明。市長含め濃厚接触者80人は陰性
18日 国立感染症研究所が調査開始
21日 クラスター累計138人。道内対象者延べ562人のPCR検査終了