国立アイヌ民族博物館で21日、交流室展示の関連イベントとして、国立民族学博物館(大阪府吹田市)の広瀬浩二郎准教授の講演会が開かれた。「見る」を中心としてきた従来の博物館の展示について、「触る―を取り入れることで人々の楽しみ方が変わる」とし、触覚の意義を述べた。
13歳で失明し、視覚障害のある広瀬准教授は、誰もが楽しめる博物館「ユニバーサル・ミュージアム」の研究者として知られる。講演会では「未開の知に触れる」と題して話した。
博物館は従来、視覚に頼った展示を行ってきたため、「展示物は見るものと、多くの人が刷り込まれている。そして見て分かった気になってしまう」と指摘。その上で触覚を取り入れた展示の重要性を強調し、「触って分かることがいろいろある。例えば木彫りの細工に指先で触れることで、技術の高さをより理解できる」と述べた。
今後の展示の在り方に関しては「触る―をイベント的ではなく常設で取り込むべき」とし、「視覚に頼った生活を送る人々にとっても博物館の楽しみ方を変えるものになる」と話した。