難読

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  • 2024年11月27日

  先日見たテレビのクイズ番組で、アナウンサーが難読地名の音読に挑戦する企画が面白かった。若い男性アナウンサー氏が後志管内倶知安町を読めず「くちやす」と言った気がする。北海道はアイヌ語の地名に漢字をあてたものが多いから難しいのだ。釧路の知方学(ちっぽまない)を初めて見たときにはまったく読めず「地方学?」と驚いた記憶がある。

   突き付けられて悩むのは、難しい読みの人名も同じだ。間違えては失礼に当たる。「何と読むか」。自信を持てない名前が、テレビや身辺に目立つようになったのは、いつの頃からだろう。教師が、出欠簿に仮名を振らなければ学級の子どもの名前を読めない―。そんな新聞記事を読んだ記憶がある。現在は「キラキラネーム」と呼ばれる一群だってある。

   国は行政事務の効率化、電算化に向けて2025年5月26日付で戸籍法を改正し、全国民の戸籍の氏名に読み仮名を付ける。読み方が間違っている場合の修正対応などは市町村が担当することになっている。しかし、先日の本紙中面の記事によると「作業量が多く、間に合わない」と懸念する声が広まっているそうだ。

   「この名前、何て読むの?」。テレビの前の老夫婦のこんな会話は記憶力の衰えも加わり、まだ当分は続くのか。(水)

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