―胆振東部地震発生から2年を迎えた今の復旧状況の受け止めは。
「住まいの再建、工事等を含め徐々にだが、復興に向けた姿が見え始めている。震災を受けた町ということを忘れられないよう、支援を頂いた皆さんへの感謝と合わせてその過程、取り組みも大切に発信していきたい。昨年7月に町の復興計画を策定し、今年度は復興始動の具現化元年だが新型コロナウイルスの流行が続いている。想定できない災害、災禍に対し、全ての分野で災害により強いまちづくりを意識した対策を講じる必要がある」
―仮設住宅の入居期限が迫っている。
「仮設住宅には54世帯96人(鵡川高校野球部除く)が入居しており、住まいの再建を最優先に復興住宅の建設を進めている。可能な限り努力しつつ、今後の気象状況なども考慮して、入居している方が心のゆとりを持てるよう引っ越し期間の猶予を北海道に提案し、理解を得た。鵡川高野球部の生徒寮も今年中に完成する」
―まちなか再生検討会が始まった。
「まちなかの再生は、住まいの再建に次いで重要。鵡川地区と穂別地区では被害状況、課題がそれぞれ違うが、まちなかは商業の中心であると同時に人と物の交流空間の役割を果たしている。商業、商店の再生だけではなく、住民がこの地域で長く暮らし続けられるよう子育て、福祉面など幅広い視点から捉える必要がある。さまざまな意見を取り入れ再生の考え方まとめていきたい。より多くの方に参加してもらい、構想の過程も発信していく」
―人口減少対策は。
「震災以降、500人超の人口が減少している。まちづくり計画の見直しを進めていく中で復興計画、地方創生総合戦略をその都度検証していく。まちなかでの人、物の交流、対流が求められている。これまでお世話になった全国各地の支援者を含めた交流人口、関係、関心人口を拡充させたい。子どもたちの未来につなげるまちづくりが今、問われている」
―新型コロナ感染拡大の影響は。
「災害復旧工事への影響は見られないが飲食店をはじめとする商工業、観光、1次産業などが打撃を受けているのは事実。町としてもできる限り独自の対策実施や制度設計に努めるが国、道と一体となった切れ目のない支援が必要。会議等もできず、遅れを取り戻すためにハードなスケジュールとなっている」
―震災の記録や記憶を伝える取り組みは。
「未曽有の災害を経験して忘れることができない個々の思いを後世に伝える必要性を感じる。町民の協力を得ながら記録に努める。『歴史的な趣』という言葉を使っているが伝承の保存や利活用、歴史的な建造物についてもまちなか再生に組み込んだ中で検討、在り方を模索していきたい」