加齢とともに増える頻尿 夜中にトイレに行く原因 苫小牧医報 膀胱蓄尿障害・夜間多尿・睡眠障害

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  • 2024年5月14日
加齢とともに増える頻尿 夜中にトイレに行く原因  苫小牧医報
膀胱蓄尿障害・夜間多尿・睡眠障害

  夜間頻尿とは「夜間排尿のために1回以上起きなければならないという訴え」と定義されています。どのくらいの割合の方がこれに当てはまるかはさまざまな報告がありますが、一般的には若年者は10~30%、高齢者では40~80%とされており、加齢とともに夜中にトイレに行く方が多くなります。特に夜間に3回以上トイレに行く重度の夜間頻尿は75歳以上で多くなり、夜間の排尿回数が2回以上になると生活の質(QOR)が障害されるといわれています。

   この夜間頻尿の原因は大きく分けて「膀胱(ぼうこう)蓄尿障害」「夜間多尿」「睡眠障害」の三つがあります。

   膀胱蓄尿障害は前立腺肥大症や過活動膀胱などの病気によって膀胱に尿をためておけず、我慢できないためにすぐに排尿したくなる状態です。前立腺肥大症や過活動膀胱は加齢とともに増える病気ですが、薬での治療が可能であり、前立腺や膀胱の刺激を抑えることで膀胱にきちんと尿を我慢できるようになります。最近は体の負担の少ない前立腺肥大症の手術も行われるようになり、治療の選択肢が増えてきています。

   夜間多尿は夜間に腎臓で作られる尿の量が増えてしまったために、排尿の回数が増えてしまう状態です。糖尿病、高血圧などの病気によって尿量が増えていることもありますが、必要以上に水分を取っているために尿量が増えていることもあります。高齢の方は夜間尿量が1日の尿量の3分の1を超えた場合にこの夜間多尿と判断します。脳梗塞や脱水の予防のためにと必要以上に水分を取り過ぎてしまい、夜間に何度もトイレに起きる原因となっています。水分摂取量と尿量のバランスを確認することで、適切な水分摂取量を守る必要があります。

   睡眠障害は良好な睡眠が得られていないため夜間に目が覚めてしまい、目が覚めるたびにトイレに行きたくなる状態です。十分な睡眠の深度であれば目が覚めないような尿意でも、睡眠が浅く覚醒しやすくなっている方は目が覚めるたびにその尿意を自覚するため夜間頻尿となります。睡眠障害を改善するためには、昼間は日光を浴びて軽い運動を行ったり、お昼寝は午後3時までの30分間程度に済ませ就寝の3~4時間前からはアルコールやコーヒー・緑茶などのカフェインの入った飲料を避けたりするなど、日常生活の工夫で良好な睡眠を得ることができます。

   夜間頻尿は、これらの三つの原因が関係し合って起こっています。一つずつ解決していくことで夜間頻尿を改善していくことができますので、ぜひ泌尿器科の先生と相談してみてください。

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