心の支え

  • 特集, 記者コラム「風」
  • 2024年12月25日

  2015年の全国高校相撲選抜大会団体決勝。埼玉栄の鎌谷将且は相手の喉輪をいなして送り出しを決め、優勝の立役者となった。

   同校出身の高山和典さんはこの後輩の姿を見て、教師になることを決意した。猛勉強の末に夢をかなえ、20年に赴任した白老町の北海道栄高校でゼロから相撲部をつくった。

   稽古も生活指導も全力で生徒と向き合った。一軒家を借り上げ寮とし「食べさせなきゃいけない競技だから」と消費した米は月300キロ。食費や運営費と苦労は尽きなかったが、創部3年目で高校相撲金沢大会の団体3位をつかみ取った。

   相撲番組制作の仕事から8月に苫小牧民報に転職し、スポーツ担当記者になった私は先月、同校相撲部を訪ねた。監督の高山さんは、心の支えになったのは力士として奮闘する鎌谷から送られてくる番付表やカレンダーだったと話してくれた。

   そして今年の九州場所。高山さんは本名鎌谷将且、大関琴桜の初優勝を誰よりも喜んでいる。(笹)

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