願う

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年11月26日
願う

  半世紀以上前の話。記者の父方の祖父が、とあるまちの首長選に出馬した。記者が生まれる前で、当時身重だった母も、遊説活動を手伝った。結果は落選。母いわく、まち全体を敵にした感覚を味わったらしい。手痛い敗戦は本人のみならず、周りにもトラウマを残した。

   結果を解説すると、現職の退任による任期満了の選挙で、新人2人の一騎打ちの構図。当時60代前半の祖父は、経済団体活動に熱心で、叙勲の栄誉を受けるなど、まちの名士的存在ながら、政治活動は素人同然だったようだ。相手は役場出身の50代。トリプルスコアで敗れた。

   泡沫(ほうまつ)候補。当選する可能性が限りなく薄い候補のことだが、熱心な選挙活動で風をつかみ下馬評を覆すケースもある。一方、当選を目指さなかったり、活動をしなかったりする候補もいる。誰でも選挙に出られる公職選挙法の趣旨は大切だが、東京都や兵庫県の知事選を見ていると、同法そのものや報道の在り方も曲がり角を迎えた気がする。

   苫小牧市長選が12月1日告示、同8日投開票で行われる。前市長の辞職に伴い、超短期決戦を余儀なくされるが、市内の政党関係者は臨戦態勢を整える。苫小牧の将来像について、政策論争が活発化することを、願いたい。(金)

過去30日間の紙面が閲覧可能です。