五輪の舞台に立つことはそれだけで偉業だ。だから競技者が地獄と表現する苦悩、苦闘を乗り越え、尽くした努力をたたえる。勝っても負けても涙をもらう。
氷都を標榜する苫小牧や胆振にはそんな五輪出場経験者が多くいる。スケート競技で多数のオリンピアンを輩出してきたから、市民の多くは親類や友人の友人、家族の同級生や知り合いまでたどれば、見つけられるのではないだろうか。
堀井学衆院議員もその一人。スピードスケートの銅メダリストで現役当初、王子製紙苫小牧工場に所属していた。競技を退いた2002年の冬、堀井氏が鵡川中学校に招かれ、道教育委員会が導入した道徳教育の特別非常勤講師として講演したのを取材した。訴えたのは、夢と具体的な目標を持つこと、自分を信じ抜くこと、諦めないこと。栄光と挫折と再起の体験を語り「夢と目標を持って、成功を信じて挑戦してほしい」と中学生にエールを送った。この時、自身の新たな目標も明かし、将来は国会議員、大臣になると語った。強く印象に残っている。
生きる道を説いた堀井氏は今、違法に香典を配った疑いなどで東京地検の捜査を受けている。政治改革の議論でよく聞かされたのが「政治に金がかかる」だった。そういうことかと膝を打つ。(司)