ウポポイ

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2023年10月12日

  白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)が当初1年目で掲げた目標の入場者数100万人を9月末で達成した。コロナ禍の中、入場制限やプログラムの変更など苦戦のスタートから3年2カ月余り。オープンが遅れた2カ月半は、先が見通せない不安とアイヌ文化復興・振興への期待が交錯した。

   オープン後の数度の記者会見でも100万人の目標は”やり玉”に挙がった。「本当に達成できるのか」「達成するための方策は?」。コロナの影響に伴う入場制限は逆風。コロナ対策を優先する姿勢は歓迎された半面、施設の期待の大きさから運営への評価は一部に厳しさがあった。町民からは「博物館どころか、五輪の開催をも流してしまう世界的な非常事態。100万人へのこだわりはなくてもいい」という声さえ漏れた。

   アイヌ文化への目線と関心は、いまだ温度差を感じる。アイヌの精神文化の伝承・人材育成への考え方も見方と立場によってさまざまだ。その中で国営で大きな一歩を踏みだした施設の意義は大きい。ウポポイはこれからもアイヌ文化の本質を正確に伝えるための議論・方策を探りながら発展することを願う。入場者数だけでは測れない施設の価値と性格を忘れてはならない。(高)

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