小腹がすいたときのおやつやサラダのトッピング、料理の隠し味に、クルミやカシューナッツなどの木の実類を使う機会が増えた。それに伴い、木の実類に対する食物アレルギーが子どもを中心に急増している。対応法を専門家に聞いた。
消費者庁が2020年に実施した全国調査によると、食物アレルギー約6000件のうち、木の実類によるものは819件(13.5%)に上った。原因食物の1位は鶏卵(33.4%)、2位は牛乳(18.6%)で、木の実類は小麦を抜いて3位に浮上。患者の多くは子どもだった。
木の実類のうちで最も件数が多かったのはクルミ(7.6%)。カシューナッツ(2.9%)、マカダミアナッツ(0.7%)、アーモンド(0.6%)が続いた。これを受け23年3月、クルミはアレルギーを起こす原材料として加工食品に表示することなどが義務化された。
原因食品に占める木の実類の割合は、05年の調査では1.9%にすぎず、近年急増していることも分かった。なぜ増えているのかは解明されていないが、消費量の増加が報告されており、「それを反映している可能性が考えられます」と国立成育医療研究センター・アレルギーセンター(東京都世田谷区)の山本貴和子医師は話す。
本来は食物を食べると、免疫細胞が異物でないと学習する「免疫寛容」が起きる。家族が木の実類を食べるのに子どもが食べない場合、子どもの免疫寛容は起きず、アレルギーの原因となる成分は荒れた肌などから体内に入って、アレルギーを引き起こしている可能性が考えられている。
食べたときの症状は他の食物の場合と同じだが、「わずかな量で発症する可能性があります」。多くは摂取後30分以内に、かゆみやじんましん、腹痛、嘔吐(おうと)、せきなどが表れ、血圧が低下して命に関わる恐れもある。強い症状が続く場合、救急車を呼ぶべきだという。
また、後日でよいので専門医を受診し、どの程度の量までなら症状が出ないかを調べる「負荷試験」を受けるとよい。症状が出ない量を継続的に口にし、免疫寛容を目指す指導に取り組む医療機関もあるという。