「就寝先延ばし」は睡眠不足リスク 日本語版の評価尺度開発

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  • 2024年5月28日
「就寝先延ばし」は睡眠不足リスク 日本語版の評価尺度開発

  就寝時間になっていてもテレビなどを見続け、ベッドに入るのが遅くなってしまう。そのような「就寝を先延ばしする傾向」が強い人では、睡眠不足、夜型への移行などの問題が見られやすいことが分かった。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所(東京都小平市)睡眠・覚醒障害研究部の羽澄恵研究員に聞いた。

   ▽睡眠障害の素地に

   オランダの心理学者が2014年に最初に報告し、睡眠不足などとの関連を指摘。その後海外でも、睡眠の問題をもたらす素地になるという研究結果が出ている。

   就寝先延ばし傾向の程度については、日本語で評価する方法がなかった。そこで羽澄研究員らは、海外で使われている評価法の日本語版(BPS―J)を作成した。

   ▽習慣振り返る契機に

   BPS―Jは、次の8項目で評価する。(1)自分が意図していたより寝る時間が遅くなる(2)夜、明かりを消さなければならない時間になったら、すぐに消す(3)寝る時間になっても、他のことをしていることが多い(4)本当は寝ようと思っている時でも、すぐに他の事に気をとられてしまう(5)決まった時間に寝ない(6)決まった就寝時間があり、それを守っている(7)決まった時間に寝たいと思うが、できない(8)寝る時間になったら、それまで行っていた活動を容易に止められる。

   (1)(3)(4)(5)(7)は「ほとんどない(1点)」~「いつもある(5点)」、(2)(6)(8)は「いつもある(1点)」~「ほとんどない(5点)」で評価。8項目の平均点または合計点(最高40点)が高いほど、就寝先延ばし傾向が強いと判断する。

   日本人の日勤労働者574人の回答から、点数が高いほど睡眠不足や夜型への移行と深く関連する。また、点数が高い人は終業時刻が遅く、就寝時刻の先延ばしへの抵抗感が薄い傾向があった。

   羽澄研究員は「BPS―Jで自分の就寝先延ばし傾向を知ることは、身に付いた習慣を振り返り、生活を見直すきっかけになります」と話している。

  (メディカルトリビューン=時事)

      ◇    ◇

   国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の所在地は郵便番号187―8551 東京都小平市小川東町4の1の1。電話042(341)2711(代表)。

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