全身状態が悪化して言葉による意思疎通が難しくなったがん患者の苦痛を、人工知能(AI)を使って「見える化」するモデルを開発したと、京都大付属病院などの研究グループが発表した。
がん治療では、専門職や一般の医療従事者が患者の症状を聞き取り、苦痛を取り除く緩和ケアが行われる。しかし状態が悪化し会話ができなくなると、目に見えない自覚症状の把握が難しいことが課題だった。
研究グループは、がん患者213人のデータを用い、性別や年齢、がんの発症部位などのほか、むくみや便秘などの「目に見える症状」をAIに学習させ、痛みや疲労、不安などの「目に見えない症状」を予測するモデルを開発した。
検証の結果、AIモデルは目に見えない症状を高精度に予測できた。研究グループは「適切な緩和ケアだけでなく、人手不足の解消にもつながる」としている。
(メディカルトリビューン=時事)