2 イベント相次ぎ中止に 開催踏み切った熱意に感服

  • 取材ノートから, 特集
  • 2020年12月16日
コロナに負けず開催に踏み切った音楽イベント「活性の火」=9月
コロナに負けず開催に踏み切った音楽イベント「活性の火」=9月
報道部・小玉凜
報道部・小玉凜

  今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、苫小牧市内で数多くのイベントが中止になった。とまこまい港まつりや樽前山神社例大祭、苫小牧漁港ホッキまつりなど季節を代表する行事をはじめ、町内会が主催する夏祭りなどの開催見送りも相次いだ。未曽有の感染症に振り回されているうち、季節の変化を楽しむ間もなく、年の瀬を迎えることになった。

   2年半前に生まれ故郷の札幌から苫小牧に引っ越し、大規模イベントの多さに驚いてきた。その多くの会場だった若草町の中央公園は苫小牧民報社の本社に近く、退勤後にふらっと立ち寄ることもたびたび。子どもたちの笑い声に、屋台から漂うおいしそうな匂い。活気のある祭りの雰囲気が好きだった。

   それだけに夏になっても屋台が並ばない今年の中央公園の光景はとても寂しいものがあった。港まつりは前身の「観光まつり」が始まった1950年以降、来年2月に予定されていたとまこまいスケートまつりは67年の開始以降、中止はいずれも史上初。取材先で「市民が集まってイベントの準備を行う機会が無くなることで、地域の協調性が薄れてしまう」と心配する声を聞いた。

   一方、イベントの開催を切望する声に応え、感染対策を徹底して実施に踏み切る動きもあり、関係者の熱意に感服した。9月に同公園で規模を大幅に縮小して行われた野外音楽イベント「活性の火」は、入場者を300人の事前予約制にし、道の「北海道コロナ通知システム」への登録を必須とするなどの対策も。コロナで風当たりの強い音楽業界において、実行委員長の「安心安全を第一に、自分たちで今後の運営のため、道を切り開かなければ」という決意が胸に響いた。

   関係者が感染拡大防止に細心の注意を払う中、自分の中途半端な記事で、開催を批判する声が出てはならない。実施されたイベントについては、感染対策をどのように講じたかを一番に伝えることを心掛けた。

   紙面に載せることで「他の催しは自粛しているのに」「感染予防意識が足りない」などの批判を招き、主催者側に迷惑を掛けることがあってはいけない。取材へ向かう足が止まりそうになることもあった。

   地域で起きていることを正確に、常に中立的な立場で報道するのが新聞記者の仕事である。来年はイベントの開催を大々的に、報道できる状況に戻ることを願っている。

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